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書斎本舗の資料室

「マンガ古典文学 方丈記 水木しげる」小学館文庫 2019


    ジャンル:コミック
    定  価:570円+税

■本について
若い頃に読み損ねたり、途中で挫折
したままの古文の作品は、マンガとか
映画といったメディアで楽しむのが
一番だと思います。

徒然草とか、方丈記とか、そういった
どことなくお説教くさいイメージが
拭い去れない古典系でも、
水木しげる(ゲゲゲの鬼太郎の作者だ)
がこの古典“方丈記”を漫画で!?それが
ちょっと意外な取り合わせに思えて
俄然興味が湧いてきたのです。

そんなファーストインプレションを
抱かせたこのコミックは、
島根のブックオフで入手しました。

そのあと、境港の水木しげる記念館に
立ち寄り、この本が水木ブック
コレクションの重要な一冊であること
を知ったのです。

■評
面白かった。しかも古典も学べる!

■脱線小話
水木さんがなぜ、鴨長明に共鳴したのかは
コミックの中でご確認いただくとして、
店主は、別の感想があります。
この鴨長明という隠者は、漢詩で有名な
陶淵明と境遇がそっくりだということです。

(長明と淵明の共通点)
・父祖が高貴。
・プライドが高い。
が、思うように出世できない。そして
・隠逸の道に進む。
 長明は、かねてからの望みの神官の地位
 に固執するあまり、望み叶わずと知るや
 隠遁の道へ。
 淵明も、はした金の為に若造の上司に膝
 を屈することができるか!と啖呵を切って
 地方の役人を退官。

その辺りが、それそれの人生のターニング
ポイントだったんでしょう。もしこの2人が
同時代・ご近所同士ならそれこそ無二の親友
だったことは想像にかたくありません。

さて、凡百の凡人なら、まあ別の役職で我慢
するか或るいは生活のため、若造の上席に
面従腹背する、といったところが関の山だろう
し、それがスタンダードでいいんだと思います。

しかし、後世に名を残すくらいの人になるには、
ピュアすぎるハートが無いと、世間の
人の心の琴線に触れる歌や文学が産出されない
のかな、と思ったりします。究極を極めたところ
に至高の芸術があるのカモ(?!)



悪い時代に生まれあわせたものだ。

こんな醜い人間の仕業を見ること
になるとは・・・・

      ~マンガ古典文学「方丈記」 水木しげる ~
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大人のための、遊び心ある書斎と書棚づくりを応援する 『書斎本舗(しょさいほんぽ))』です。 当店では主に、90年代の名作ゲームに関する攻略本を ヤフオクで取り扱っています。

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